泣ける漫画と一口に言っても、涙の理由は人それぞれだ。

失ったものを思い出して泣きたい夜もあれば、自分を赦せなくて苦しい夜もある。
もう一度立ち上がりたい夜もあれば、ただ、静かに心を休めたい夜もある。

僕は小さい頃から、漫画ばかり読んできました。寂しい時や、辛い時、何度も漫画で救われてきました。

特技はどんな漫画を読んでも泣けること。たぶん涙腺が弱いだけだと思うけど。

この記事は、しんどい夜に漫画を読み返してきた自分のメモとしてまとめています。

泣ける漫画って、結局“何で泣きたいか”で刺さる作品が変わる。僕は落ちた夜に本棚から適当に引っ張って、合わなくて余計しんどくなったことが何回もある。だから今回は、気分別に分けた。合う章だけ読めばいい。

  • 喪失:失った痛みに向き合いたい夜
  • 赦し:後悔や自己嫌悪から解放されたい夜
  • 再生:もう一度前を向きたい夜
  • 癒し:何も考えず、心を休めたい夜

※この記事は、落ち込んで眠れない夜に“読み返して助かった漫画”を、僕の体験ベースで整理したものです。

喪失──救われない涙を知る漫画たち

失った人・時間・言葉を思い出してしまう夜に。

『聲の形』(大今良時)

「ごめん」を言えないまま、大人になってしまった人へ。

漫畫『聲の形』作品イメージ

「加害した側の苦しみを、ここまで丁寧に描く作品は初めて。
石田が硝子に向き合おうとする姿を見て、自分の過去まで思い出してしまった。」
──読書メーター(複数の感想を参考にしました)

これ、ほんとそうで。僕も「加害側の息苦しさ」でページが止まった。

『聲の形』を読むと、僕は、いじめられていた子に対して何もできなかった自分を思い出してしんどくなる。
この作品は、耳の聞こえない少女・西宮硝子をいじめてしまった石田将也が、「その後」を生き直そうとする話。

読んでいて逃げ場がない。謝っても戻らないし、許された感じもしない。
それでも将也が硝子に会いに行って、何度も頭を下げるところで泣いた。僕の場合、“赦されたい”より「あのとき自分は何をすればよかったんだろう」をずっと引きずってたからだと思う。

読み終えてスッキリはしない。でも、過去の自分を無かったことにしないで済む感じが少しだけ残る。同じように“何もできなかった側”の記憶がある人には、たぶん刺さる。

→ この作品を、もう少し冷静に深掘りしたい人へ:
『聲の形』あらすじから読む“泣ける理由”解説

『四月は君の嘘』(新川直司)

自分の好きなことを、ちゃんと好きだった頃を思い出したい夜に。

僕はこの作品を読むと、「好きなものに夢中だった時代って、もう戻らないんだな」と思って急に苦しくなる。

ざっくり言うと、ピアノから気持ちが離れていた有馬公生が、宮園かをりに振り回されながら演奏に戻っていく物語。

泣いたのは、公生のピアノが“また動き出す”場面。演奏が上手いとかじゃなくて、止まってた時間が一瞬だけ進む感じが刺さった。
それと、かをりの嘘が分かったとき。悲しいというより、「ああ、ちゃんと誰かのためにやってたんだな」って気づかされて、もう一回きた。

好きなことを楽しむのって簡単そうで、できる時期は意外と短い。だからこの話は、読むと元気になるというより「今のままでも、少しは楽しんでみようかな」って背中を押してくる。


『3月のライオン』(羽海野チカ)

泣けるシーンを挙げろと言われると、正直むずかしい。でも、後からじわっと残る。

「川本家のシーンがしんどかった。優しすぎて、こんな場所が自分にはなかったって思ってしまった。」
──読書メーター(複数の感想を参考にしました)

僕はこの作品を読むと、泣くというより「ちゃんと帰れる場所があるって、こういうことか」と思ってしまう。理想の家庭を考えたとき、真っ先に思い出すのが川本家の食卓だ。

誰も相手の傷口にズカズカ入らない。変に励まさない。その代わり、ご飯が出てきて、話が途切れても気まずくならない。あの空気が、妙にしんどいくらい温かい。

話は、将棋の世界で孤独に踏ん張ってきた零が、川本家と関わるうちに少しずつ外の世界にも目を向けていく。僕はその「変わり方」が派手じゃないのが好きで、だからこそ刺さる。

読み終わったあと、「自分もああいう家を作りたいな」と思わせてくる作品だ。


赦し──痛みの中の優しさを思い出す漫画たち

「あのとき」の後悔を抱えたまま眠れない夜に。

『カクカクしかじか』(東村アキコ)

「あのとき、ちゃんとやっていれば」その後悔が、自分に向いている夜に。

恩師との日々を描いた実話漫画。

泣けるのは別れの場面だけじゃない。
逃げた日の積み重ねが、あとから自分に返ってくるところだ。

「やればできる」と言い続けた時間が、いちばん自分を傷つけていたと気づく瞬間がある。

僕はこの作品を読んで、“やり直せる未来”よりも、“逃げた自分を受け入れる今”のほうが重いと知った。

読み終わったあとに残るのは、「全部は無理でも、今日だけは机に座るかもしれない」という、静かな決意だった。


『フルーツバスケット』(高屋奈月)

優しくしすぎて、自分のことを後回しにしてきた夜に。

「透ちゃんの“優しさ”が痛いほど心に染みた。
誰かを救うことで、自分も救われるって本当なんだと思った。」
──読書メーター(複数の感想を参考にしました)

この感想は分かる。 でも僕がフルバでしんどくなるのは、「救われる」より先に、透ちゃんが自分の都合をほぼ置き去りにしてしまうところだ。

透ちゃんの優しさって、見返りを前提にしてない。目の前の人を放っておけないだけ。たぶん、本人の中ではそれが“当たり前”になってる。

透が由希と夾と一緒に暮らすことになって、草摩家の事情に巻き込まれていく。
そこで透が何度も言う「大丈夫だよ」。これが刺さるんだよね。

癒されるのはその言葉だけじゃなくて、透ちゃんを“ただのお人よし”で終わらせない周りの優しさもある。気づいたら、読み終わったあとに涙が滲んでる。

たぶん僕は、空気を壊したくなくて自分の感情を後回しにしがちで、透ちゃんにそれを見せつけられる。だから優しい場面ほど、ちょっと痛い。


再生──涙のあとに光が射す漫画たち

もう一度、前を向きたいと思った夜に。

『SLAM DUNK』(井上雄彦)

熱くなった昔の気持ちを思い出したい君へ。

僕は山王戦を読み返すたびに、勝った/負けたより「ここまでで十分だったな」と思ってしまう。

うまく言えないけど、あの頃の自分の必死さを、回収してくれる感じがある。

だからこの漫画の涙は、後悔じゃない。
もう一度立ち上がるための涙でもない。

読み終わったあとに残るのは、「頑張ってよかった」じゃなくて、「無駄じゃなかった」に近い。

そして、次の日、久しぶりに走ってみたくなるかも。


『ワンピース』(尾田栄一郎)

誰かのために泣ける自分を、まだ信じたい夜に。

「“仲間のために泣ける”ってこんなに清々しいんだって気づかせてくれた。
ナミの『助けて』も、メリー号の別れも、全部優しさでできてる。」
──読書メーター(複数の感想を参考にしました)

『ワンピース』で泣くのは、勝敗とか強さの場面じゃない。

ナミの「助けて」は、頼っていいことを思い出させる。
メリー号の別れは、「大事にしてた時間」をそのまま肯定してくる。

子どもの頃はただ熱い話だと思ってたのに、大人になって読むと、「自分も、誰かにちゃんと優しくできる側でいたい」って思わされる。

読み終えた直後はスッキリしてるのに、あとからジワジワ効いてきて、少しだけ人に優しくしてみようかなと思わせてくれる。LINEの返信を、ちょっとだけ丁寧に返す程度でいい。


癒し──泣けるを超えて、優しくなれる漫画たち

何もできない夜に、ただページをめくりたい君へ。

『よつばと!』(あずまきよひこ)

何も起きない一日が、なぜか一番しんどい夜に。

子どもと、同じ目線で遊んだ日のことって覚えてる?
『よつばと!』を読むと、そのときの空気を思い出して目が潤む。

『よつばと!』って、事件もドラマも起きない。ただ、目の前のことに驚いて、笑って、疲れて、寝る。その当たり前の場面が、なぜか心に刺さる。

何処か一つだけ泣けるシーンを選べと言われたら困ってしまう。でも、読んだ夜だけは「今日が最悪だった」と言い切れなくなる。そんな効き方がする漫画だ。

→ この作品を、もう少し深く読みたい人へ:
『よつばと!』感情考察レビュー

『夏目友人帳』(緑川ゆき)

孤独を感じてしまった君へ。

「“ありがとう”って言葉で泣いたのは初めてかもしれない。
夏目が誰かに優しくするたびに、
自分の中の寂しさも少しずつほどけていく気がした。」
──読書メーター(複数の感想を参考にしました)

僕が妖だったら、夏目に「ありがとう」って言うと思う。
妖が語る孤独の深さと、夏目の距離感がちょうどよすぎて、目が熱くなる。

やってることは、友人帳に縛られている妖たちに“名前を返す”話。
でも、派手な解決はあんまりない。返して、別れて、翌日が来る。

僕は子狐の回を読むと、昔「優しくされたのに、うまく返せなかった日」を思い出して泣く。
夏目は抱きしめたりはしないのに、ちゃんと“ここにいていい”を残していく。
読み終わったあと、孤独が消えるんじゃなくて、呼吸が少しだけ楽になる。

→ この作品を、もう少し深く読みたい人へ:
『夏目友人帳』感情考察レビュー


『とんがり帽子のアトリエ』(白浜鴎)

子どもから大人への成長を思い出したい君へ

『とんがり帽子のアトリエ』は、優しい絵なのに、読みながらずっと胸がきゅっとする。
“知らなかった自分には戻れない”って感覚が、魔法の話の中で何度も来るから。

泣いたのは、ココが「早く元に戻したい」のに、焦りを飲み込んで練習を繰り返すところ。
力を持つって、好き勝手できることじゃなくて、間違えないために我慢することなんだって見せられる。

読み終わっても、元気になるわけじゃない。
寂しさは残る。けど、変に急がなくていい気がしてくる。そんな作品だ。

→ この作品を、もう少し深く読みたい人へ:
『とんがり帽子のアトリエ』感情考察レビュー


よくある質問

Q:ねえ、“悲しいだけ”の漫画と、“救われる涙”の違いって何だと思う?

うーん、読み終わったあとにね、
自分とか、誰かに少しだけ優しくなれてるかどうか、かな。
ただ落ち込んで終わるんじゃなくて、「もう一歩だけ前に出てもいいかも」って思える余白が残るかどうか。

Q:最初の一冊、どれ読むか迷うんだけど。重すぎないやつある?

それなら『よつばと!』が一番いいと思う。
派手なことは何も起きないけど、“泣く練習”みたいな感じで、心がゆっくりほぐれてくる。
そのあと『夏目友人帳』に進むと、ちょうどいい。

Q:時間ないんだけど、短時間でも効く作品ってある?

それも『よつばと!』かな。
1話完結だから、数分読むだけでも呼吸が整う。
今日は無理、って日ほど向いてる。

Q:自己嫌悪が強いときって、どれが一番くる?

その状態なら、『聲の形』か『カクカクしかじか』。
どっちも、“過去の失敗をなかったことにしない”話なんだ。
でも、赦し方をちゃんと見せてくれる。
黙って抱えてきたものが、少し軽くなる。

Q:家族とか仲間と一緒に泣けるやつは?

それなら『ワンピース』と『フルーツバスケット』。
信頼とか、絆とか、家族って言葉をちゃんと“使える言葉”に戻してくれるんだよね。
読み終わったあと、自然と会話が生まれる。

Q:読んだあとの気持ち、すぐ消えちゃうのが嫌でさ。

僕もそう。
おすすめは、心に残ったコマとか台詞をスマホに一枚だけ保存しておくこと。
一週間後に見返すと、涙が“優しさ”としてちゃんと残ってる。

最後に

泣ける漫画は、元気な日に読むとただの名作で、しんどい日に読むと「その夜の支え」になる。

この記事は、気分で選びやすくするためのメモとしてまとめました。無理な日は「癒し」からで大丈夫です。

よかったら
同じ作品でも刺さる場面が違うので、もし1コマでも記憶に残ったら教えてください(追記で反映します)。

選定基準(単行本で読める泣ける漫画)
この記事の性格:レビューというより「夜に泣ける漫画を選ぶためのメモ」
更新日(最終更新 2026/02/15)
連絡先:コンタクトフォームよりお願いいたします
X(旧Twitter):@naruse_akira30

今夜はここまで。明日読む自分のために置いておきます。

情報ソース・参考文献

※本記事は各出版社・公式メディアの情報をもとに構成しています。
著作権はすべて原著作者および出版社に帰属します。

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