「天国大魔境」第12話考察|宇佐美の延命はなぜ“愛”だったのか──ミミの「大好きだよ」が示した答え

アニメ考察

この記事はアニメ12話だけ、しかもシロとミミの話だけに絞ります。

会社の同僚に進められて『天国大魔境』を休日前の深夜に一気見したら、12話は3回見直すはめに。そして、そのままのテンションで書いてる。

頭に残っているのは、瓦礫の街じゃない、ヒルコでもない、高原学園の会議室でもない。12話の呼吸器の音だけが、一定の間隔で鳴っている、あの病室だ。

もう伝わってると思うけど、僕が最も共感したキャラは、宇佐美(シロ)だ。

アニメ第12話で呼吸器の音が止まる前後、そこで明かされる宇佐美(シロ)とミミの秘密には、何度見返しても泣かされる。

僕が一番ダメだったのは、「大好きだよ」のところ。

この記事では、宇佐美(シロ)とミミ、この2人のことだけ書きたい。

※原作未読のアニメ勢です(解釈違いあったらごめん)。原作の解釈とはズレるかもしれないけど、アニメ12話を見た時点の自分の感想として残します。

学園時代のシロ。あの半歩が、ずっと引っかかっている

天国大魔境 高原学園の廊下と子どもたちの検査シーンをイメージした画像

高原学園の場面は、一見すると穏やかだった。
でも僕は、あの静寂が気持ち悪かった。

高原学園の静けさと子どもたちの検査

高原学園のシーンって、光がやけに柔らかい。

白い廊下。整った食事。時間通りの生活。

外が崩れているのに、ここだけ時間が止まっているように見える。

検査の場面では、子どもたちは座らされ、数値を測られ、結果を告げられる。

「次はあなた」と呼ばれる声が、やけに事務的で、そこに拒否の余地はない。

誰も暴力を振るわない。暴力はないのに、拒否権もない。そのバランスが気持ち悪い。

ミミの前に立つという選択

ミミヒメに危険が起きそうな時、さりげなくシロはミミの前に出ていた。
ほんの半歩だが、考えるより先に体が動いていた。

アニメ第8話で学園内に緊張が走った場面。シロはミミの前に立つ。大げさな動きじゃない。でも、危険の方向に身体を向ける癖だけは、最初から変わらなかった。

あれは格好をつけている動きじゃない。誰かに見せるためのポーズでもない。

ただ、ミミが怖がらなくて済むように。
シロの行動は、いつも変わらなかった。

上層部とシロの違い

学園の上層部は、自分たちのために子どもたちの将来を利用しようと計画する。
大人は「他人の人生を利用」する。

シロは常に体を張ってミミを守り続けた。
シロにも「ミミのそばにいたい」みたいな欲はあったと思う。

でも、それでミミに見返りは要求しない。
そこだけは、上層部の“利用”と同じ扱いはしたくなかった。

学園の時点で、シロはもうミミのほうしか見てない感じがした。
たぶん本人は自覚もない。体が先に出てる。
あの半歩、あとで12話の病室を見たときに、急に刺さってきた。

大人になったシロ(宇佐美)とミミ

天国大魔境 第12話 宇佐美がミミを延命する病室のイメージ

宇佐美がミミを延命しているシーンを最初に見たとき、正直、執着としか思えなかった。

そこまでして引き止めるのか、と。

でも見返すたびに、「執着」って言った自分のほうが浅かったなって思った。

病室の機械音と宇佐美の立ち位置

塀の外は瓦礫だらけなのに、あの病室だけ妙に整っている。
低い機械音が、一定の間隔で鳴る。
チューブが何本も伸びて、ミミの体に固定されている。

宇佐美は、その横に立っている。
白衣じゃない。研究者の顔でもない。冷静な顔をしている。

ここ、音が怖すぎてイヤホン外した。
でもね、3回も観たから頭も中に残っちゃった。

延命は執着なのかという疑い

最初は「そこまでやるのか」と思った。
もう治らないと分かっているのに、延命を続ける。

自分が離れたくないだけじゃないのか、と疑った。
でも、何度か巻き戻してようやく気がついた。

宇佐美は、未来の話をしていない。
「治る」とも言わないし、「またどこかへ行こう」とも言ってない。

やっているのは、ミミの呼吸器を止めないことだけ。
この世界は、死んだあとヒルコになっちゃう。宇佐美はそれを知ってる。

「生きてほしい」って目じゃなかった。どっちかというと、息だけ繋いで“その瞬間”を待ってる感じ。

マルに依頼した瞬間の迷いのなさ

マルの能力を知ったとき、宇佐美はほとんど間を置かない。

条件を並べず、交渉もせず、「もう少し時間を」とも言わなかった。

勢いじゃない。あれ、準備してた顔だった。

ここを執着って言い切るのは、僕には無理だった。

もし自分の寂しさを埋めるための延命なら、マルが来た瞬間に揺れるはずだ。
少なくとも、ためらう。でも揺れなかった。

その姿を見て、延命っていうより、「その時」を待ってる顔だった。
希望の顔じゃない。
人間のまま終わらせるための、時間稼ぎっていうか、“待ち”だ。

宇佐美は、たぶん待ってた。いや、待ってたんだと思う。
ヒルコにならない道を。

ミミヒメ最後が最後に見た青い空

天国大魔境 第12話 ミミの最期と宇佐美が涙を流す場面のイメージ

あの場面、泣くより先に「うわ、やめて」ってなる。
ここで一気に、話の温度が変わった。
僕はあの視線から目を逸らせなかった。

ヒルコ化が進む病室

あの体で綺麗なミミの瞳に衝撃を感じた。

呼吸器の規則的な音が、まだ命をつなぎ止めている。
それ以外、ほとんど何も聞こえない。

ミミの体は限界だった。
皮膚の変化がはっきり分かる。ヒルコ化が進んでいる。

宇佐美は、いつもの位置に立っている。

宇佐美の声に迷いはあったのか

マルが能力を使えると分かった瞬間、宇佐美は依頼する。

声は低い。震えないし、早口でもない。言い直さない。…なのに、こっちが勝手に落ち着かなくなる。

あれはずっと考えてきた人の声に聞こえた。

なんであんな顔で頼めるんだよ、って思った。

終わらせる決断は誰のためだったのか

ミミは取り乱さない。

「怖い」と言わないし、助けを求める目もしない。
代わりに、宇佐美を見て覚悟を伝えた。

もし宇佐美が、自分の寂しさのために延命していたなら、たぶん、揺れると思う。なのに揺れない。

「目、ありがとう」。ここで義眼の意味が分かって、僕は一度泣いた。

ミミを大事に思っていたから、ヒルコになる前に何とかしたくて延命を続けた。でも、ヒルコにならない方法を知った瞬間、今度は「苦しませない」そっちを選んだ。

僕が一番ダメだったのは、「大好きだよ」のところだ。

それまで冷静だった宇佐美が、あの一言で、急に顔をくしゃくしゃにして泣く。
あの場面を何度も止めて見直した。空が綺麗なのが、逆にきつい。

あそこで「大好きだよ」は反則だろ。そりゃ泣くわ、って思った。

僕も枯れるんじゃないかと思うくらい涙が溢れた。
でも「よかったね」って思いながら出る涙は、変にスッキリしてた。翌日は目が腫れてたけど、気持ちは晴れてた。

学園上層部と宇佐美は何が違うのか

天国大魔境 高原学園の会議室と病室の対比を表現したイメージ

ここまで追ってきて、学園の会議室を思い出した。

子どもたちの未来を決める会議室

高原学園の会議室を思い出す。
大人たちは落ち着いた声で話している。怒鳴らないし、机を叩くこともない。

でも話しているのは、子どもたちの将来だ。検査の数値が並び、役割が決まっていく。

そこに本人の選択はない。静かに、未来が決められる。

ミミの終わりを引き受けた病室

一方で、宇佐美はミミの未来を決めない。

彼が考えていたのは、“どう生かすか”じゃなくて、“どう終わらせるか”だった。

ヒルコになるかもしれない世界で、あのままヒルコにならずに済む道はあったのか。

会議室の静けさは、ただ冷たい。
病室の静けさは、息が詰まる。種類が違う。

この二つを並べると胃がキュッとなる。

だから僕の中では、怪物よりも、宇佐美とミミが居た病室のほうが頭から離れない。

あの場面だけ、BGMも止まってた。見終わったあともしばらく呼吸器の音が頭から消えなかった。

まとめ|僕がシロとミミに惹かれた理由

天国大魔境 第12話 宇佐美とミミの別れを象徴する静かな病室

学園では、いつも半歩前にいた。塀の外では、あの部屋に張り付いてた。
で、最後に“手を離す”っていう一番きついところを引き受ける。

最初は執着にも見えた。ここまでやるのか、と正直思った。

でも、マルに依頼したあの声と、ミミが向けた視線を何度も見返しているうちに分かった。

自分が寂しくならないための選択なら、あの迷いのなさは出ない。

正直、シロって途中から「ミミを守る人」以外の顔が見えなくなっていく。それがちょっと怖かった。

会議室の大人たちを思い出すと、余計にあの病室がきつい。

最後に“だいすきだよ”って言われる側の人生、想像したら胃が痛い。

たぶんまた12話を再生すると思う。
で、また「大好きだよ」で止める。たぶんじゃなく、止める。

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