東京リベンジャーズ聖夜決戦編のタイムリープ解説|タケミチは何を変えた?

映像考察

これまでのタイムリープは、全部無駄だったのかもしれない。

聖夜決戦編の前にある現代は、タケミチにとって残酷すぎます。場地に代わって東卍壱番隊隊長になったタケミチは、未来で東卍の幹部になっていました。けれど、その東卍のトップにいたのは稀咲です。しかもタケミチ自身が、稀咲の言いなりになって悪事に加担している。最後には稀咲に騙され、ヒナを事故に巻き込んでしまいます。

僕なら、ここで心が折れます。ドラケンを救った。血のハロウィンも変えた。場地の後を継いで東卍の中に入った。それなのに、たどり着いた未来では稀咲の下にいる。ヒナを守るどころか、ヒナを失う原因を作る側に回っている。ここまで見せられて、それでももう一度立ち上がれるタケミチは、やっぱり普通じゃないです。

タケミチは、ヒナを守るためにもう一度過去へ戻ります。目的は、稀咲を東卍から排除することです。ただし、具体的な作戦があったわけではありません。過去へ戻った直後から、黒龍と柴家の問題に巻き込まれていく。稀咲を直接どうにかするどころか、目の前の聖夜決戦から逃げないだけで精一杯になるんです。

僕はこの聖夜決戦編を、タケミチが稀咲に初めて傷を入れるまでのタイムリープとして読みました。大寿に勝ったからではありません。ノープランで過去へ戻り、負け続けても教会から逃げなかったから、稀咲の計画が表に出たんだと思います。

僕が見返して一番引っかかったのは、「タケミチは大寿に勝っていないのに、なぜ未来が変わったのか」というところでした。ここでは、アニメ第2期「聖夜決戦編」と原作9〜13巻あたりをもとに、その引っかかりを自分なりに整理します。

※天竺編以降の詳しいネタバレは避けます。

聖夜決戦編のタイムリープは、稀咲を排除する目的から始まる

絶望的な未来から過去へ戻るタケミチをイメージした聖夜決戦編のアイキャッチ

項目 聖夜決戦編での内容
タイムリープの目的 ヒナを守るため、稀咲を東卍から排除する
過去で起きる問題 八戒、柚葉、大寿をめぐる柴家と黒龍の事件
タケミチが変えたこと 八戒が大寿に復讐する過去を変え、稀咲を東卍から外す流れを作る
記事の見どころ タケミチは大寿に勝てないのに、なぜ未来が変わったのか

聖夜決戦編のタイムリープは、タケミチにとって嫌な現代から始まります。未来のタケミチは東卍の幹部になっている。けれど、その東卍の上にいるのは稀咲です。稀咲の下には黒龍も居る。稀咲の下で動いていたと知るだけでもきついのに、タケミチは稀咲に騙されてヒナまで失う。

アニメ第1期でタケミチはナオトとドラケンを救った。血のハロウィンでは、マイキーが一虎に復讐する過去も変えた。でも、稀咲は東卍に残ったままで、未来にヒナはいない。この事実を突きつけられると、聖夜決戦編のタイムリープは希望がある行動には見えません。タケミチの中にあるのは、もっと切羽詰まった目的です。

ヒナを守るために、稀咲を東卍から排除する。

ただ、ここが厄介です。タケミチにはヒナを救出するという目的はしっかりある。でも手段が見えていない。稀咲をどう追い出すのか。どの過去を変えれば、稀咲が東卍の中心に入り込まない未来になるのか。そこまでは見えていません。

過去へ戻ったタケミチは、すぐに黒龍と柴家の問題へ巻き込まれていきます。未来で見えていたのは、八戒が兄の柴大寿に手をかけて黒龍のリーダーになるという事実でした。初見では、僕も「今回は八戒が大寿に手をかける未来を止める話なんだな」と思っていました。

でも、見返すと少し違います。八戒の問題、柚葉が一人で背負っていたもの、大寿の支配。そして、その奥にある稀咲の狙い。タケミチは稀咲を排除したくて戻ったのに、過去では稀咲へ一直線に向かえない。目の前に出てきた黒龍と柴家の問題を、逃げずに受け止めるしかありません。

このノープランさが、タケミチらしいんです。計算して勝つのではなく、分からないまま飛び込んで、ボロボロになりながら未来の出口を探す。聖夜決戦編のタイムリープは、スマートな作戦ではなく、絶望の中でそれでも前に出るところから始まっているように見えました。

稀咲はなぜ八戒を使って大寿に手をかけさせようとしたのか

稀咲の策略と黒龍をめぐる不穏な関係をイメージした聖夜決戦編のアイキャッチ

聖夜決戦編を見返すと、柴家の話に見えていたものの奥に、稀咲の嫌な手つきが残っているのが分かります。初見では大寿の圧や八戒の問題に目が行くんですが、後から考えると、稀咲はその全部を利用しようとしていたんですよね。

僕には、稀咲が欲しがっていたのは大寿が消えることそのものではなく、東卍の中で自分の立場を強くするための材料だったように見えます。マイキーの近くに入り込み、将来的に裏社会で力を持つ組織の上位に立つ。そのために一番近い場所が東卍だったんじゃないでしょうか。

東卍にはマイキーがいる。人を惹きつける力がある。そこに黒龍まで取り込めば、東卍はさらに大きくなる。そして、その拡大に関わった人間として、稀咲の立場も強くなる。この流れで見ると、八戒に大寿を狙わせた目的は、黒龍の取り込みだったと見えてきます。

大寿が消えれば、黒龍は揺れる。八戒には兄に手をかけた罪が残る。混乱した黒龍を東卍側へ引き込む余地も生まれる。稀咲にとっては、大寿を倒すことよりも、その後に生まれる混乱の方が欲しかったのかもしれません。

嫌なのは、稀咲が自分の手で大寿を倒そうとしていないところです。八戒の弱さを使う。柚葉が抱えていたものも使う。柴家の歪みを使う。黒龍の力も使う。人の弱さを見つけて、救うのではなく道具にする。

僕には、そこが稀咲の一番気持ち悪いところに見えました。

初見では、黒龍との抗争が前に出るので、どうしても大寿の強さや八戒の問題に目が行きます。でも稀咲の動きを追うと、聖夜決戦はただの柴家の事件では終わりません。黒龍を東卍に取り込む。マイキーの近くで自分の立場を強くする。そのために、人の弱さをわざと最悪の方向へ押し出す。

この卑劣さは、稀咲らしさそのものだと思います。直接殴るよりも、もっと嫌なやり方です。本人が手を汚さず、誰かの弱さを使って事件を起こし、その混乱を自分の足場にする。タケミチが巻き込まれた黒龍の問題は、柴家だけの問題ではなく、稀咲が東卍を自分の欲望に合わせて変えようとする動きでもあったんじゃないでしょうか。

この稀咲のやり方が、後で千冬を通してマイキーに伝わります。そこまで考えると、聖夜決戦編は「八戒を止める話」では終わらない。稀咲のやり方が、東卍の中に置いてはいけないものとして表に出る話でもあるんです。

タケミチは大寿に勝てない。それでも教会から逃げない

教会で倒れながらも大寿に立ち向かうタケミチをイメージした聖夜決戦編のアイキャッチ

聖夜決戦編で僕が一番手が止まったのは、タケミチが大寿にまったく勝てないところです。大寿は、気合いだけでどうにかなる相手ではありません。体格も、暴力の圧も、黒龍の総長としての存在感も違う。タケミチが正面からぶつかって勝てる相手には見えない。

正直、見ていて「これは無理だろ」と思いました。タケミチは何度も殴られます。倒されます。綺麗に反撃して流れを変えるわけでもない。急に覚醒して大寿を圧倒するわけでもない。

それでも、教会から逃げません。

ここが聖夜決戦編のタケミチなんですよね。稀咲を排除する作戦もない。大寿には勝てない。黒龍と柴家の問題は重すぎる。普通なら、ここで心が折れてもおかしくありません。けれどタケミチは、負けたままそこに残る。

この「負けているのに、まだ終わっていない」感じが、僕はかなり好きです。

タケミチが教会から逃げなかったから、八戒は自分の嘘から目を逸らし続けられなくなる。柚葉が一人で抱えていたものも、教会の中で表に出てくる。そして、稀咲の計画も崩れていきます。

もしタケミチが逃げていたら、八戒は大寿の前で自分の弱さを認められなかったかもしれない。柚葉も一人で背負ったままだったかもしれない。稀咲のやり方も、隠れたまま進んでいたかもしれない。そう考えると、タケミチが教会に残ったことは、ただの根性論では済まないんです。

タケミチは大寿に勝ったわけではありません。ただ、その場に残り続けたことで、八戒も、柚葉も、千冬も、マイキーも動く場所ができた。未来を変えるための手段を持っていたわけではないけれど、逃げないことで、稀咲の計画が崩れる場所を作った。

僕は、聖夜決戦編のタケミチの強さはそこにあると思っています。勝てるから残るのではなく、逃げたらまた何も変えられないと知っているから残る。その弱くてしつこい強さが、聖夜決戦編でははっきり出ています。

聖夜決戦編で見えた「自分に負けないこと」の意味

傷つきながらも自分に負けず立ち上がるタケミチをイメージした聖夜決戦編のアイキャッチ

聖夜決戦編の見え方が決まったのは、僕の中では13巻109話のマイキーの言葉でした。

「本当に大切なことは、自分に負けないこと」。

この言葉を読んだとき、タケミチが教会で何をしていたのか、やっと腑に落ちました。タケミチは大寿に勝ったヒーローではありません。殴られて、倒されて、力の差を見せつけられている。普通に考えれば、負けています。

この言葉を読むまで、僕はタケミチのしぶとさを少し根性論で見ていたかもしれません。でも教会の場面を思い返すと、タケミチは「勝てる」と思って立っていたわけじゃないんですよね。逃げたら、またヒナがいない未来に戻る。その怖さを知っているから、勝てなくてもそこから逃げない。

タケミチは、大寿相手には負けています。けれど、自分には負けませんでした。稀咲を排除する作戦がない。大寿には勝てない。黒龍と柴家の問題も重すぎる。それでも、教会から逃げなかった。

だから八戒が動いた。柚葉の抱えていたものも表に出た。稀咲の卑劣なやり方も、千冬がマイキーへ伝えられるところまで進んだ。

僕は、聖夜決戦編のタケミチを「強くなった主人公」とは見ていません。むしろ弱いままです。でも、弱いまま自分に負けない。この強さは、第1期からずっと続いています。

タケミチが未来を変えてきた理由は、喧嘩の強さとは別の場所にあります。何度負けても、何度折れそうになっても、まだ前を向くから、周りの行動が変わってきた。聖夜決戦編では、そのタケミチの核が、マイキーの言葉ではっきり形になったように感じました。

聖夜決戦編でタケミチは何を変えたのか

聖夜決戦編でタケミチが八戒や柚葉の未来を変える場面をイメージした画像

聖夜決戦編を見返して不思議だったのは、タケミチがほとんど狙い通りに動けていないのに、終わってみると未来が確かに変わっていることでした。

八戒が大寿に復讐する過去は変わる。柚葉が一人で抱えていたものも表に出る。稀咲は東卍から外される。結果だけ並べると、大きな変化です。

でも、そのどれもタケミチが最初から計算して掴んだものには見えませんでした。

稀咲を排除したくて過去に戻ったのに、黒龍と柴家の問題に巻き込まれる。大寿には勝てない。八戒の嘘も、柚葉の痛みも、最初から全部見えていたわけではありません。それでも教会から逃げなかったことで、柴家の中で止まっていたものが崩れ、稀咲のやり方も表に出ていきます。

アニメ第1期では届かなかった稀咲に、ここで初めて手がかかります。稀咲の卑劣な振る舞いが千冬からマイキーに伝わり、ついに稀咲が東卍から追い出される。

では、なぜマイキーは千冬の言葉を信じたのか。僕は、千冬が場地のそばにいた人間だからだと思っています。場地が命をかけて東卍を守ろうとしたことを知っている。その千冬が稀咲を告発するなら、それはただの告げ口ではなく、場地が守ろうとした東卍をもう一度守るための言葉として届いたんじゃないでしょうか。

稀咲のやり方も、東卍の中に置いてはいけないものでした。黒龍を取り込んで東卍を大きくする。マイキーの近くで自分の立場を強くする。そのために八戒の弱さや柚葉の痛みを利用し、大寿に手をかけさせようとする。

これは、東卍を強くする行動ではありません。東卍を自分の欲望のために汚す行動です。

タケミチが教会から逃げなかったことで、その稀咲のやり方が表に出た。だから聖夜決戦編の結果は、八戒や柚葉の未来だけでなく、稀咲を東卍から追い出すところまで進んだんだと思います。

聖夜決戦編のあとに未来が完全に良くなるわけではありません。稀咲を追い出しても、まだ終わらない。ただ、それでもタケミチが動かしたものは小さくありません。

ノープランで過去へ戻り、黒龍と柴家の問題に巻き込まれ、大寿には勝てず、何度も倒された。それでも、自分に負けなかった。

聖夜決戦編を見返して残るのは、タケミチが勝った爽快感ではありません。負け続けても教会から逃げなかったことで、ようやく稀咲に傷を入れた。その苦い手応えでした。

東京リベンジャーズ聖夜決戦編のタイムリープでよくある疑問

聖夜決戦編は原作何巻ですか?

だいたい原作9〜13巻あたりです。アニメでは第2期「聖夜決戦編」として描かれます。

聖夜決戦編はアニメ何期ですか?

アニメ第2期です。第1期で血のハロウィンまで見たあと、タケミチがさらに稀咲へ近づいていく章として見ると流れが掴みやすいです。

タケミチは聖夜決戦編で何を変えましたか?

八戒が大寿に復讐する過去を変えました。しかも最後には、稀咲を東卍から追放するところまで行くんですよね。第1期では稀咲に手が届かなかった。でもタケミチが諦めずに戦い続けた成果だと思います。

タケミチは大寿に勝ったのですか?

力で勝った訳ではありません。僕も初見では「タケミチ、普通に負けてない?」と思いました。ただ、聖夜決戦編で大事なのは勝敗よりも、最後まで教会から逃げなかったことだと思います。

稀咲はなぜ八戒を使ったのですか?

黒龍を揺らし、東卍に取り込む流れを作るためだったと僕は読んでいます。稀咲は自分で大寿を倒すのではなく、八戒の弱さや柴家の問題を利用しようとした。ここが稀咲の嫌なところです。

稀咲は聖夜決戦編でどうなりましたか?

聖夜決戦後、稀咲は東卍から除名されます。これで全部終わるわけではありません。でも僕は、この場面でようやく「稀咲に触れた」と感じました。第1期では遠くにいた稀咲に、タケミチたちの行動が初めて傷を入れたんです。

聖夜決戦編のあと、ヒナは救われますか?

聖夜決戦編のあとも、ヒナが完全に救われた未来には届きません。稀咲は東卍から除名されますが、問題はまだ終わらず、物語は天竺編へ続いていきます。

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この記事は、筆者がアニメ『東京リベンジャーズ』第2期「聖夜決戦編」を見直し、原作9〜13巻の流れと公式情報を確認したうえで作成しました。本文には、作品内容をもとにした筆者個人の感想や考察も含めています。

参考情報

確認に使った公式情報はこちらです。アニメ『東京リベンジャーズ』聖夜決戦編の範囲や放送情報、ストーリー確認のために参照しました。

※放送情報、配信情報、公式ページの内容は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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